★本文は覚書のために記載しているものですので、正しくは元論文をご覧ください。また、研究結果は研究方法などにより結果が左右されるものであることをご承知おきください。記載内容に関する責任は取れません。
★間違い等ありましたら指摘いただければ幸いです。
http://www3.interscience.wiley.com/journal/119114357/abstract
☆wiley interscienceのabstractより。
☆full text available on line
【論文の概要】
ブラジルでは1988年よりシャーガス病のスクリーニング検査を血液バンクに義務付けている。このスクリーニングテストの精度を調査するため、57の主な血液バンクに感染(+)の血液を送付し、結果を見た。血液バンクの大半はELISA法を採用していた。false-negative(偽陰性=本当は感染した血液であるのに感染していない正常な血液であると判断された)率は3.7%(64サンプル)で、うち49サンプルが間接血液凝集反応法を使用していた血液バンクからのものだった。現実にはスクリーニングテストは2回以上実施するところが多いため、本当に見逃されたサンプルは8つでありそのうち3つは1回しかスクリーニングをしていない施設からのものであった。
結論としてはブラジルにおけるシャーガス病のスクリーニングパフォーマンスは明らかに上昇している。
【本論文を読んだ背景】
シャーガス病(アメリカトリパノソーマ)は中南米に多く「サシガメ」と呼ばれる動物からの咬傷、輸血、臓器移植、母子感染によって媒介される病気である。若年層では陽性率がぐっと低くなっているが特に年配層はトリパノソーマ抗体陽性率が高い。感染急性期には服薬する薬があるが、慢性期に入ると対処療法しかない。数年から数十年の慢性期があり、症状は心室肥大、心室拡大、不整脈などの循環期症状と巨大結腸、巨大食道などの消化器症状としてあらわれる。
ブラジルはもちろん、アメリカでは南米移民からの輸血による感染が報告されており、日本でもその危険性があるが、日本赤十字が実施しているスクリーニングテスト項目には入っておらず、対策が望まれる。また、日本ではほとんどこの病気を見ることがないため、医療者の認識も大変薄く、診断治療できる人も限られている。
今回はブラジルで実施されているスクリーニングテストの精度を知るために、本文を読んだ。
【感想】
ブラジルのテストは高感度(黒を黒という確立)だということが判りました。きっとこの調査の結果以降もっと感度は上がっているでしょう。だから、だいたいここ10年にブラジルで輸血をして感染なしだというフィードバックがもらえている人に関しては、けっこう結果が信頼できるということですね。
日本ではまだ市販でシャーガス病をチェックできるキットがなく、これを研究している研究室の先生に送付してお願いするという方法で対処するそうです。
日本赤十字の対策も望まれますし、医療現場でも特に南米出身日系人の割合が多い地域では、医療者の認識を高めなければなりませんが、認識を広めてゆく際には、差別や偏見につながらないよう充分な配慮が必要です。日本人も、たとえば同じように輸血や母乳で感染するHTLV-1(成人T細胞白血病をひきおこす)の陽性率が他国に比べて特異的に高く、これで差別されたら嫌でしょうから…
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Evaluation of the Performance of Brazilian Blood Banks in Testing for Chagas' Disease
1997
Amadeo Saez-Alquezar a , Marcia M. Otani a , Ester C. Sabino a , Gabriela Ribeiro-dos-Santos a , Nanci Salles a and Dalton F. Chamone a, b, c,
a Fundacao Pro-Sangue Hemocentro de Sao Paulo, Brazil b Department of Hematology and Hemotherapy, University of Sao Paulo, School of Medicine, Brazil c Division of Blood, Brazilian Ministry of Health, Sao Paulo, Brazil
Background and Objectives: Due to the low sensitivity and reproducibility of available tests, in 1989 it became mandatory for all Brazilian blood donors to be screened for Chagas' disease by at least two serological techniques. In 1994 the Brazilian Ministry of health launched a program to systematically evaluate the quality of serological screening for the detection of blood-transmissible diseases as performed by public blood banks.
Methods: A blind panel containing positive samples for blood-transmissible disease was distributed to 57 major public blood banks in four sequential programs.
Results: The ELISA test was chosen by the majority of the blood banks. There were 64 (3.7%) false-negative results, 49 produced by banks using indirect hemagglutination. Since most blood banks screened with more than one test for Chagas, only 8 samples were actually missed, of which 3 were by banks using only one test.
Conclusion: Our data show a clear improvement in performance of Brazilian blood banks testing for Chagas' disease.
reproducibility:再現性
mandatory:必須の
indirect hemagglutination:間接赤血球凝集反応IHA
検体の血清中に存在する抗体の存在を確認する
ブラジルで使用されているスクリーニングにはELISA(酵素抗体法)やIHAT(間接赤血球凝集反応法)がある。急性期には、血中に原虫(トリパノソーマ)が多く容易に見つかるが、慢性期におけるシャーガス病の患者血液から原虫を検出することは極めて困難であり、現在はELISAやIHATが用いられている。
ELISA法(Enzyme-Linked Immunosorbent Assay:酵素免疫測定法)とは サンプル中に含まれる微量の目的物質を、酵素標識した抗体または抗原を用い、抗原抗体反応を利用して定量的に検出する方法。ELISA法は 1)目的物質を1 attomole(=10の18乗分の1モル)という高感度で検出することができ、定量性にも優れている、2)抗原抗体反応を利用して検出するため粗抽出段階で測定が可能であり、他の検査法で必要とされる精製や前処理といった煩雑なステップを必要としない、3)短時間で大量のサンプルを測定できる、などのメリットがある。
ELISA法は、測定原理の違いからサンドイッチ法(非競合法)と競合法の二つに大別されます。
上記参照:http://www.miobs.com/kisotisiki/kiso_02.htm
★間違い等ありましたら指摘いただければ幸いです。
http://www3.interscience.wiley.com/journal/119114357/abstract
☆wiley interscienceのabstractより。
☆full text available on line
【論文の概要】
ブラジルでは1988年よりシャーガス病のスクリーニング検査を血液バンクに義務付けている。このスクリーニングテストの精度を調査するため、57の主な血液バンクに感染(+)の血液を送付し、結果を見た。血液バンクの大半はELISA法を採用していた。false-negative(偽陰性=本当は感染した血液であるのに感染していない正常な血液であると判断された)率は3.7%(64サンプル)で、うち49サンプルが間接血液凝集反応法を使用していた血液バンクからのものだった。現実にはスクリーニングテストは2回以上実施するところが多いため、本当に見逃されたサンプルは8つでありそのうち3つは1回しかスクリーニングをしていない施設からのものであった。
結論としてはブラジルにおけるシャーガス病のスクリーニングパフォーマンスは明らかに上昇している。
【本論文を読んだ背景】
シャーガス病(アメリカトリパノソーマ)は中南米に多く「サシガメ」と呼ばれる動物からの咬傷、輸血、臓器移植、母子感染によって媒介される病気である。若年層では陽性率がぐっと低くなっているが特に年配層はトリパノソーマ抗体陽性率が高い。感染急性期には服薬する薬があるが、慢性期に入ると対処療法しかない。数年から数十年の慢性期があり、症状は心室肥大、心室拡大、不整脈などの循環期症状と巨大結腸、巨大食道などの消化器症状としてあらわれる。
ブラジルはもちろん、アメリカでは南米移民からの輸血による感染が報告されており、日本でもその危険性があるが、日本赤十字が実施しているスクリーニングテスト項目には入っておらず、対策が望まれる。また、日本ではほとんどこの病気を見ることがないため、医療者の認識も大変薄く、診断治療できる人も限られている。
今回はブラジルで実施されているスクリーニングテストの精度を知るために、本文を読んだ。
【感想】
ブラジルのテストは高感度(黒を黒という確立)だということが判りました。きっとこの調査の結果以降もっと感度は上がっているでしょう。だから、だいたいここ10年にブラジルで輸血をして感染なしだというフィードバックがもらえている人に関しては、けっこう結果が信頼できるということですね。
日本ではまだ市販でシャーガス病をチェックできるキットがなく、これを研究している研究室の先生に送付してお願いするという方法で対処するそうです。
日本赤十字の対策も望まれますし、医療現場でも特に南米出身日系人の割合が多い地域では、医療者の認識を高めなければなりませんが、認識を広めてゆく際には、差別や偏見につながらないよう充分な配慮が必要です。日本人も、たとえば同じように輸血や母乳で感染するHTLV-1(成人T細胞白血病をひきおこす)の陽性率が他国に比べて特異的に高く、これで差別されたら嫌でしょうから…
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Evaluation of the Performance of Brazilian Blood Banks in Testing for Chagas' Disease
1997
Amadeo Saez-Alquezar a , Marcia M. Otani a , Ester C. Sabino a , Gabriela Ribeiro-dos-Santos a , Nanci Salles a and Dalton F. Chamone a, b, c,
a Fundacao Pro-Sangue Hemocentro de Sao Paulo, Brazil b Department of Hematology and Hemotherapy, University of Sao Paulo, School of Medicine, Brazil c Division of Blood, Brazilian Ministry of Health, Sao Paulo, Brazil
Background and Objectives: Due to the low sensitivity and reproducibility of available tests, in 1989 it became mandatory for all Brazilian blood donors to be screened for Chagas' disease by at least two serological techniques. In 1994 the Brazilian Ministry of health launched a program to systematically evaluate the quality of serological screening for the detection of blood-transmissible diseases as performed by public blood banks.
Methods: A blind panel containing positive samples for blood-transmissible disease was distributed to 57 major public blood banks in four sequential programs.
Results: The ELISA test was chosen by the majority of the blood banks. There were 64 (3.7%) false-negative results, 49 produced by banks using indirect hemagglutination. Since most blood banks screened with more than one test for Chagas, only 8 samples were actually missed, of which 3 were by banks using only one test.
Conclusion: Our data show a clear improvement in performance of Brazilian blood banks testing for Chagas' disease.
reproducibility:再現性
mandatory:必須の
indirect hemagglutination:間接赤血球凝集反応IHA
検体の血清中に存在する抗体の存在を確認する
ブラジルで使用されているスクリーニングにはELISA(酵素抗体法)やIHAT(間接赤血球凝集反応法)がある。急性期には、血中に原虫(トリパノソーマ)が多く容易に見つかるが、慢性期におけるシャーガス病の患者血液から原虫を検出することは極めて困難であり、現在はELISAやIHATが用いられている。
ELISA法(Enzyme-Linked Immunosorbent Assay:酵素免疫測定法)とは サンプル中に含まれる微量の目的物質を、酵素標識した抗体または抗原を用い、抗原抗体反応を利用して定量的に検出する方法。ELISA法は 1)目的物質を1 attomole(=10の18乗分の1モル)という高感度で検出することができ、定量性にも優れている、2)抗原抗体反応を利用して検出するため粗抽出段階で測定が可能であり、他の検査法で必要とされる精製や前処理といった煩雑なステップを必要としない、3)短時間で大量のサンプルを測定できる、などのメリットがある。
ELISA法は、測定原理の違いからサンドイッチ法(非競合法)と競合法の二つに大別されます。
上記参照:http://www.miobs.com/kisotisiki/kiso_02.htm


